ペットが亡くなったとき、多くの方が「何をすればいいのか分からない」とおっしゃいます。人の葬儀なら病院や葬儀社が段取りを進めてくれますが、ペットの場合は飼い主が自分で調べて動かなければなりません。悲しみの中でそれをするのは、本当に大変なことです。
この記事では、ペットのご葬儀とご供養をお勤めしている寺の立場から、亡くなった直後にしていただくことと、ご葬儀までに何日使えるのか、その間に決めておくとよいことを順にお話しします。読みながら一つずつ進めていただければ大丈夫です。
まず、慌てなくてよいということ
結論から申し上げると、亡くなった当日にご葬儀をしなければならない決まりはありません。適切に安置すれば、夏場でも2日ほど、冬場なら4日ほどはご自宅で過ごせます。深夜に亡くなった場合でも、朝まで一緒にいてあげて、明るくなってからご連絡いただいて構いません。
むしろ、最後の時間をゆっくり過ごすことは、後の気持ちの整理にとって大切です。「もっと一緒にいればよかった」という後悔は、急いでお別れをした方からよくうかがいます。

亡くなった直後にすること
1. 死後硬直の前に、体勢を整える
小型犬や猫では、亡くなってから2時間前後で死後硬直が始まります。その前に、まぶたをそっと閉じ、手足を胸のほうへ寄せて、眠っているような自然な姿勢にしてあげてください。硬直が始まってしまった場合は、無理に動かさなくて大丈夫です。棺に入らないことはほとんどありません。
2. 体をきれいにしてあげる
濡らしたタオルでやさしく体を拭き、毛並みを整えてあげてください。時間が経つと、口や鼻、お尻から体液が出てくることがあります。これは自然なことです。タオルやガーゼで拭き、脱脂綿を軽く詰めておくと安心です。
3. 保冷して安置する
段ボール箱やペット用の棺、バスケットなどに、ペットシーツと毛布・タオルを敷いて横たえます。ドライアイスや保冷剤をなるべくたくさん用意し、タオルに包んで、お腹と頭のそばに置いてください。直接体に当てると凍傷のような変色が出ることがあるので、必ず布で包みます。
保冷剤とドライアイスは、どこで手に入るか
深夜に亡くなった場合、まず手に入るのは保冷剤です。ご家庭の冷凍庫にあるもの、コンビニエンスストアで売っている袋入りの氷(袋のままタオルで包みます)で足ります。夜のうちはこれで十分しのげますので、無理に探し回らないでください。
ドライアイスは、日中であれば氷屋、業務用の食品スーパー、一部のホームセンターで購入できます。取り扱いのない店も多いので、出かける前に電話でお尋ねください。ネット通販でも買えますが、届くまでに時間がかかります。ご葬儀を頼む先が決まっているなら、そこに相談するのが早い場合もあります。法輪寺でも、保冷でお困りのときはお電話でご相談ください。
ドライアイスは素手で触ると凍傷になります。必ず新聞紙やタオルで包み、軍手を使ってください。締め切った狭い部屋に大量に置くのも避け、ときどき窓を開けてください。
部屋はできるだけ涼しい場所を選び、直射日光と暖房を避けます。夏場はエアコンをつけたままにしてください。保冷剤は半日〜1日で交換します。
4. お別れの準備をゆっくりと
好きだったおやつ、お花、お手紙、一緒に撮った写真。棺に入れてあげたいものをご家族で選んでください。写真はこのときに多めに撮っておくことをおすすめします。あとで遺影にしたり、お位牌の横に置いたりします。
金属やプラスチック、厚手の布、大きなおもちゃは火葬できないことがあります。迷うものは当日お尋ねいただければ判断いたします。
ご葬儀まで、何日もつのか
目安は次のとおりです。あくまで目安で、体の大きさや室温によって前後します。
| 夏場 | 2日以内 |
|---|---|
| 春・秋 | 2〜3日 |
| 冬場 | 4日以内 |
においが強くなってきた、体液が止まらない、お腹が張ってきた、といった変化が出たら、それ以上は待たずにご連絡ください。ドライアイスを使えばもう少し延ばせますが、ご家族の気持ちが落ち着いたタイミングでお見送りするのが一番です。
ご葬儀までに決めておくこと
お寺や火葬業者に連絡する前に、次の3つを家族で話しておくと、電話がスムーズです。
どこでお見送りするか。自治体の焼却施設、ペット霊園、自宅に来てもらう訪問火葬、お寺でのご葬儀という選択肢があります。自治体は費用が最も安く済みますが、多くが合同で焼却され、お骨は戻りません。それぞれの違いは火葬の種類の違いの記事にまとめています。
お骨をどうするか。自宅に置く(手元供養)、お寺の供養塔に納める、庭に埋める、のいずれかです。ご葬儀の時点で決まっていなくても構いません。法輪寺では、いったんお持ち帰りいただいて、気持ちの区切りがついたときに納骨をお受けしています。
誰が参列するか。ペット供養堂でのご葬儀には、ご家族の皆さまにご参列いただけます。人数に制限はございませんが、堂内にお入りいただけるのは5〜6名ほどです。小さなお子さんがいる場合は、参列するかどうかを事前に話しておくとよいでしょう。
なお、犬を飼われていた方は、市区町村への死亡届(30日以内)が必要です。手続きは落ち着いてからで間に合いますので、犬の死亡届と手続きの順番にまとめました。
こんなときはどうする?
動物病院で亡くなった場合
病院で亡くなった場合、多くの病院はお体を連れて帰るための箱や保冷剤を用意してくれます。「このあとどうすればいいか」を病院で聞くと、提携している火葬業者を紹介されることがありますが、その場で決めなくて構いません。いったん連れて帰り、ご家族で相談してからご連絡いただいて大丈夫です。
ほかにもペットがいる場合
多頭飼いの場合、残された子が亡くなった子を探したり、食欲が落ちたりすることがあります。亡くなった子の体を見せて、においを確認させてあげると、状況を理解しやすいと言われています。無理に引き離す必要はありません。
庭に埋めたいと思ったとき
ご自宅の庭(私有地)に埋葬すること自体は法律で禁止されていません。ただし、浅く埋めると野生動物に掘り返されたり、においが出たりします。また、公園や河川敷、山林などの他人の土地や公共の場所に埋めることは、法律に触れます。将来引っ越す可能性がある場合は、火葬してお骨を手元に置くほうが、後で困りません。詳しくはお墓と納骨先の選び方をご覧ください。
小さなお子さんがいる場合
「死んだ」ことをどう伝えるか迷われる方が多いですが、隠さずに伝え、お別れの時間に参加させてあげることをおすすめします。手紙を書く、花を選ぶ、といった役割があると、子どもなりに気持ちの整理ができます。
連絡前のチェックリスト
電話をかける前に、次のことをメモしておくと落ち着いて話せます。ペットの種類と名前。おおよその体重(分からなければ犬種・猫種)。亡くなった日時。お住まいの市区町村。ご来寺できるかどうか。希望の日時(第2希望まで)。お骨をどうしたいか(未定でも可)。
法輪寺にご連絡いただく場合
お電話では、ペットの種類と体重、お住まいの市区町村、ご希望の日時をおうかがいします。この時点で費用の目安をお伝えします。深夜や早朝に亡くなった場合は、まず安置していただき、朝になってからで結構です。「まだ迷っている」というご相談だけでも大丈夫です。
法輪寺のご葬儀は、ペット供養堂で僧侶が読経し、ご家族にご焼香をしていただいてから、境内で火葬いたします。お骨上げもご家族の手で。ご遺骨はお持ち帰りいただいても、そのまま境内のペット供養塔にお納めいただいても構いません。ご葬儀の流れもあわせてご覧ください。ご来寺が難しい場合は、ペットだけをお迎えにうかがいます(対応エリア)。
この記事を書いたお寺
大阪府堺市中区の高野山真言宗 法輪寺。ペット供養堂での読経・ご焼香のあと境内で火葬し、ペット供養塔への納骨・永代供養、その後の年忌法要まで、ひとつの境内でお勤めしています。宗旨・宗派は問いません。法輪寺について
